―姫様は天然気味w―
「―――姫ー、ピーチ姫ー」
暖かな日差しについうたた寝をしていた金髪美女、ピーチ姫。
そんな自分を呼ぶ声は側近のものの声ではなく、聞いていて一番安心できる人―――マリオのもの。
どうやら自分を探しているようであり、なにかあったのかと思案すること数秒。
「そうだわ、今日のティータイムはご一緒しましょう、と誘っていたのよね」
キノピオに頼んだ招待状が届いていてよかったわ、と喜ぶピーチ。
そんな現在も聞こえてくる自分を呼ぶマリオの声。
大変、行かなくちゃ。と思い立ちあがるも、その視界に入るのは蝶。
「まぁ、珍しいですわ!」
ひらひらと飛ぶ蝶に夢中になり、追いかけるピーチ。
彼女の頭の中ではすでに約束のことが抜け落ちてしまっていた。
ピーチが去って数分。
驚異的な感でピーチの居た場所にたどり着いたマリオはその場に居ない光景にため息を吐く。
「――姫、またなんだね」
その痕跡から恐らく昼寝をしていたのだと推測するマリオ。
だが、現場に居ないことから、またどこかに行ってしまったのだろうと考え、辺りを見回す。
そして見つけた痕跡。
草原のなかに人が通ったあとが見事に残っていた。
そもそも、このような事態は初めてではないのだ。
ピーチは約束も覚えていて聡明ではあるのだが、どこかポワポワとした雰囲気からもわかるとおり、
興味を引かれるものを見てしまうとついつい行ってしまうのだ。
こうなったら後は根競べ。
ピーチが興味を持つ対称を見つける前に出会わなければならない。
「まぁ、残念―――あら、ここは?」
頭にハテナマークを浮かべ、現状に気づくピーチ。
気づいたら空が茜色に染まり、まったく見覚えのない場所に居た。
どうしましょう、と悩むんでいると聞こえてくる自分を呼ぶ声。
「やっと見つけたよ、姫」
振り向いた先に居たのは疲れきったマリオ。
蝶のあと花畑を見つけて花を摘み、その途中で蜂に追われて逃げ、珍しいポケモンを見つけて追いかけるなど、
多数の行程を踏んでおり、ピーチの捜索は実に困難なものであった。
「あっ! ごめんなさい、マリオ。わたし・・・」
そこで漸く、ティータイムのことを思い出し、申し訳なさからしゅんとなるピーチ。
その様子に苦笑しながら手を差し出すマリオ。
彼にとって見ればこの事態は今更なので、別に怒ったりすることなどないのだから。
――帰ろう、姫。 ティータイムは無理だけど、食後のお茶なら大丈夫だろ?
一瞬きょとんとした後、はい、と差し出された手を笑顔でとるピーチ。
彼女にとってマリオはやはり理想のヒーローなのであった。
某チャットで仲良くさせてもらってる水無月さんから素敵小説をいただいちゃいましたーv
まさに、私が思い描くマリオとピーチですよ!b やばいですめちゃくちゃニヤニヤしながら読んでました(殴
姫の天然ぶりが、それを十二分に理解している懐の大きい男なマリオが、可愛くて癒されます+*
こんなほのぼのな二人をいただけるなんて果報者すぎますっ><水無月さん、素敵小説をありがとうございました!